文芸評

ジュディ・バドニッツ(岸本佐知子訳)「奇跡」

雑誌は(というかなんでもそうだけど)順序というものがある。 掲載される順番は、ある程度、その雑誌での読ませたい順序を示していると考えられる。よく知られているのは、マンガ雑誌だろう。アンケート結果の人気によって、表紙を飾ったり、巻頭カラーにな…

小山内恵美子「おっぱい貝」文學界4月号

小山内恵美子「おっぱい貝」文學界4月号 第42回九州芸術祭文学賞 最優秀作 ということで、文學界4月号に載っていた「おっぱい貝」を読んだ。 最近、口にするのが、恥ずかしいタイトルの小説が多いような気がするが、目立つけど、いいこととは思えない。…

田中慎弥「共喰い」すばる10月号

田中慎弥「共喰い」すばる10月号仕事の休憩時間に読みはじめて、危うく遅れそうになった。ひさびさに、食い入るように読んだ。とても人に勧められる内容ではなく、気分の悪くなる小説でありながら、これはすごいと思わせる小説だった。読んでいて「作って…

西村賢太「苦役列車」

そんなわけで、芥川賞候補を読むの3回目です。念のためいちおう断っておきますが、順番には意味はありません。登録されたファイルの順番で、それは内容を知らないでやってます。 通勤電車ではないが、「自炊」してしまったので、紙ではなく、PDFになってい…

朝吹真理子「きことわ」

というわけで、芥川賞候補を通勤電車で読む、の第2回です。えー、なんて書けばいいのでしょう。たしかに、この人は候補にすべきだ、と思いました。他の作品を読んでいないので、なんともいえませんが、才能のある人であると感じました。 完成度はそれほどで…

田中慎弥「第三紀層の魚」

てなわけで、iPhoneで読んだ。すばる2010年12月号に掲載の田中慎弥「第三紀層の魚」すばる 2010年 12月号 [雑誌]出版社/メーカー: 集英社発売日: 2010/11/06メディア: 雑誌 クリック: 7回この商品を含むブログ (5件) を見るひとことでいえば、すばらしい小…

加藤幸子

純文学文芸誌を買う習慣は続いていて、思いつくままにぺらぺらめくって、読めそうなところ、気が向いたところを読んでいる。本日は、群像にあった、「トラウマ犬」という随筆を読んだ。うまい。文章がいい。なんて安定している安心して読める文章なんだろう…

川上弘美の群像1月号にのっていた「小鳥」があまりにもヒットだったので、「センセイの鞄」につづき、「神様」と「真鶴」を読む。結論としては、期待はずれだった。「小鳥」が最高で、ということは、次の作品がとても気になる。真鶴 (文春文庫)作者: 川上弘…

群像1月号に載っていた川上弘美の短編読切「小鳥」を読む。実をいうと川上弘美の小説を初めて読んだのだが、こりゃあ飛び抜けた才能だと思った。 リアリティとリアルの違いというものが、小説にはつきまとう。小説とはそもそも嘘なのだから、本当にあったこ…

熱にうなされるように文芸誌を読む活動を続けている。といっても3日目なので、そろそろ飽きるのではないか、と自分で思っていたりするが、しかし、今回は大当たりだった。ちょっとない掘り出し物に出会った。季刊 真夜中 No.4 2009 Early Spring 特集:たの…

個人的な、文芸誌を読もう、活動をしているのだが、なかなか読めないものだけど、すばる4月号は中編を2つも読んだから満足して、次に向う。モンキー ビジネス 2009 Winter vol.4 少年少女号作者: 柴田元幸出版社/メーカー: ヴィレッジブックス発売日: 2009…

文芸誌を最近買ってるんですよ。なんて話を昨日の飲み会でいったら、どんな作品が良かったですか、と訊かれて、うっとつまる。 ドナルドキーンとか、橋本治とか、そういう話を期待されているわけではなく、新人あるいはそれに準ずるまだ評価の定まっていない…