■
川上弘美の群像1月号にのっていた「小鳥」があまりにもヒットだったので、「センセイの鞄」につづき、「神様」と「真鶴」を読む。結論としては、期待はずれだった。「小鳥」が最高で、ということは、次の作品がとても気になる。
- 作者: 川上弘美
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/10/09
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 29回
- この商品を含むブログ (70件) を見る
- 作者: 川上弘美
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2001/10/01
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 103回
- この商品を含むブログ (131件) を見る
以下、私の独断の分析メモ。
「神様」のクマを老人(センセイ=夏目漱石「こころ」の先生)に置き換えたのが「センセイの鞄」。同じクマを、幽霊にしたのが「真鶴」だ。クマ=神様=幽霊というのは、完全に直球。神様=センセイというのは、変化球。「神様」における神様=クマという図式も変化球なので、「真鶴」は、直球勝負にでた、というきがする。
「真鶴」のモチーフは、失踪と「砂」から、安部公房の「砂の女」。ただし、失踪する側ではなく、失踪される側を描いている。
今月(2月号)の群像に、文芸漫談があり、安部公房の「砂の女」が取り上げられているが、そこで、安部公房のSF性。星新一などとの連続性が語られている。川上弘美は、筒井康隆が選考する賞でデビューし、ヘミングウェイの文体を意識しているという。文体は、星新一にも近く、また、現在形の多用から、ポール・オースターを連想する。ちなみに、筑紫哲也はテレビでポール・オースターを「日本でいえば安部公房のような」と紹介していた。
そんなわけで、「真鶴」=「砂の女」裏バージョンである。
- 作者: 安部公房
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/03
- メディア: 文庫
- 購入: 19人 クリック: 197回
- この商品を含むブログ (346件) を見る
- 作者: ポール・オースター,Paul Auster,柴田元幸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1995/03/01
- メディア: 文庫
- 購入: 6人 クリック: 46回
- この商品を含むブログ (166件) を見る
全く無関係だと思うけど、「神様」を読んで、私はラファティのスナッフルズという小説を思い出した。
記憶がおぼろげなので、嘘かもしれませんが、クマのぬいぐるみみたいな殺人動物の話です。
- 作者: R.A.ラファティ,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1988/02/01
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 75回
- この商品を含むブログ (91件) を見る