加藤幸子
純文学文芸誌を買う習慣は続いていて、思いつくままにぺらぺらめくって、読めそうなところ、気が向いたところを読んでいる。本日は、群像にあった、「トラウマ犬」という随筆を読んだ。うまい。文章がいい。なんて安定している安心して読める文章なんだろう。と思い、経歴を確認する。ずいぶん年上だ。(というか年上とかいうレベルじゃなく、私の父母と同年代だった)
このエッセイ、捨て犬をもらうという話だが、犬と著者のやりとりが何ともいえず、いい。犬に向けるまなざしが温かい。それでいて、なにかのトラウマのために、家からでることのできない犬にたいし、地道に行動療法をしかけて徐々に成功させていく、行動を伴った知性がある。この人すごいな。そう思って、群像の巻末を見る。
なるほど、作家であることがわかった。では、どんな小説を書いているのか調べてみる。インターネットはすばらしい、すぐにでてくる。とりあえず、書店で手に入りやすい角川文庫の2冊を手に取ってみた。すると「池辺の棲家」の解説が春日武彦で、しかもこの本を「今年出版された本のベスト3」に選んだ、と書いてある。当たりだ。買いだ。
で、いま、その最初の一編を読んだ。すばらしい。そうそう、こういう小説が読みたかったんだよ。日本のアリス・マンローだよ。
ほんと文芸誌読んでいると、いい作家に出会える。そう思える一日だった。
- 作者: 加藤幸子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/09/25
- メディア: 文庫
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
- 作者: 加藤幸子
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/09/25
- メディア: 文庫
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (8件) を見る