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個人的な、文芸誌を読もう、活動をしているのだが、なかなか読めないものだけど、すばる4月号は中編を2つも読んだから満足して、次に向う。
モンキー ビジネス 2009 Winter vol.4 少年少女号
- 作者: 柴田元幸
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2009/01/20
- メディア: 単行本
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でも、これを文芸誌といっていいのかちょっと疑問だが、気にせず読む。といっても、内容は割と薄めで、短いものばかり。
少年少女号ということで、似たようなことが書いてある。
柴田元幸「スチュアート・ダイベックと京浜工業地帯を歩く」では、柴田氏は子供の頃の野球の思い出を語り、
「今日も午後になったら、子供たちがここへ野球しにくるのだろうか。もっともいまは、半ズボンに運動靴なんかじゃなくて、ちゃんとユニフォームを着て、スパイクをはいて、バットもグローブもそれぞれ持っていて……全然違う世界だ」
レベッカ・ブラウン「時代の子供」には
「母はその前、ローラ・インガルス・ワイルダーの本を何冊か私たちに読んでくれていて、そのなかに、おじいさんだか誰だかがクリスマスに子供たちにオレンジを持ってきてくれるというエピソードがあった。子供たちはオレンジをもらってぞくぞくしている。すぐ食べた方がいいのか、とっておくべきなのか、彼らにはわからない。それに引きかえ私たちは、オレンジならフロリダで一年じゅう獲れたし、私たちが持っていた物のうち何ひとつ、ローラ・インガルズ・ワイルダーの子供たちにとってのオレンジの半分の意味もなかった」
という文章がある。
こことはまったく関係がないが、先日ちょっと思い出した格言をまた思い出す。
「子供を不幸にする一番確実な方法は子供が欲しがるものを何でも与えてやることだ。」
ルソーの言葉。
野球はユニフォームとスパイクでするもの、グローブもひとりひとつずつ、という世界にいるなら、オレンジは一年じゅう食べられるなら、それは実のところ、一見幸福でも、不幸なことかもしれない。
いまの二十代ぐらいまでの人は、不景気だの氷河期だのといって、苦労をしているふうに自分のことをいうのだが(実際苦労してはいるのだろうが)、それにしては……と思うことも少なくない。そして、それはとても豊かな子供時代を送っていたということととても関係があるような気がする。
ま、それはともかく、この雑誌でいちばんの小説はなんといっても
ナサニエル・ホーソーン「死者の妻たち」だった。
短く、単純で、台詞もなんか説明調なのだが、しかしこの終わり方は、すばらしい。こういうのがいくつも載っていたら、文芸誌も次号がまちどおしくなるだろうに。
参考→http://d.hatena.ne.jp/mari777/20090212/1234452047