「降りていく生き方」横川和夫著(太郎次郎社刊)

降りていく生き方―「べてるの家」が歩む、もうひとつの道

降りていく生き方―「べてるの家」が歩む、もうひとつの道

のあとがきを引用しているページ( http://www.kilie.com/mado/note/03_03.html )より

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『かつてオランダの学校教育を知るために、メディア数社の論説・解説委員とともに、オランダの教育省や学校を見学したことがある。

 ちょうど日本では、きびしい校則が問題になっていたときだった。行くさきざきで「校則はありますか」という質問をくり返した。どこに行っても校長からは同じような言葉が返ってきた。

「校則はあります。それは『人間らしく行動すること』ということです」

 驚いて、「それだけですか」「人間らしく行動するとは、具体的にどんなことですか」と、私たちは矢継ぎばやに質問した。

「それは生徒が自分で考え、自分で決めることです。あまり細かい規則をつくると、生徒は自分の頭で考えなくなるので、つくりません」

このオランダの中学校長の言葉は、日本の学校教育が、生徒の当事者性をいかに奪ってきたかをみごとに浮き彫りにしてくれていると思う』


このオランダの校則『人間らしく行動すること』とは、はたしてどういうことなのでしょう。他の動物とは違う、人間ならではというところでのことなのか、それとも本来持ち合わせてしまった習性に従ってということなのか。

いまひとつピンとこなかった私は、数人の知人に質問してみました。するとみな返答に困り、辛うじて出てきたのは、相手を思いやるとか、優しくするとか、悲しませないとか、嘘をつかないとか、そんな類でしたが、どうもよくわからないというのが正直なところのようでした。まあいずれにしても、校則なので、事ある毎にそれを考え、自分で決め、行動するというところに意義があるのでしょう。

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