わたしが子どもだったころ
みーにせがまれて、ケストナーの「わたしが子どもだったころ」岩波書店を読み聞かせした。
わたしが子どもだったころ (ケストナー少年文学全集 (7))
- 作者: ケストナー,ワルター・トリヤー,高橋健二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1962/08/18
- メディア: 単行本
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
以前に「点子ちゃんとアントン」や「エーミールと探偵たち」を読んだときには、どうもわたしの好みに合わないと思っていたのだけれど、この「わたしが子どもだったころ」は面白かった。
といっても、読んだのは途中の2章分ぐらいだけれど。
内容は、お話というよりもエッセイに近い。子供のころを回想したものだけれど、語り口はユーモアがあり、独特な冷めた視線で大人たちや自分自身をみつめているのが、面白く、そしてケストナーの境遇と、子どもながらのケナゲな姿が心に響く。
わたしが読んだ途中の章で、「結婚する」と嘘をつく女の人が出てくる。その嘘によって、ケストナーの母親は、損害を被るのだが、ケストナーの書き方は、ある種憐れみを持って、その女の人の気持ちに寄り添うように書いてある。書き方次第では、嘘つきのひどい女だといっても間違いではないのに、だ。
この「わたしが子どもだったころ」は、「点子ちゃん」や「エーミール」よりも、何十年かあとに書かれている。そのことも影響しているのか、わたしはケストナーの童話にはいまいち乗れなかったユーモアも、この自伝的エッセイでは楽しく読むことができた。
しかし、これは子ども向けなのだろうか? 大人が読んでも面白いと思うが、というか大人向けの気がする。