[日常]

原発事故から半年経ち、事態は収束するどころか、混迷を深めているような気がします。

経産大臣が数日で辞任したり、原発デモでは十数人の逮捕者が出ました。周囲をみても、原発が恐いとか、放射能が入っている食品といった話題に関して、かなり認識が広がってきている感覚があります。すくなくとも3月では、恐い恐いと言うな的な圧力がありましたが、そういう感覚は薄れてきているようです。(そのためか、逆に相当神経質な反応もあるのは事実ですし、そうした恐怖を商売に結びつける動きもでてきました)

とはいえ、電力会社や経産省が大きく変わるような方向性はなく、既存の原発は再稼働する動きも出てきました。高々、電力ということでは説得力を失ったと感じたのか、核抑止力としての原発の必要性を、政治家などが堂々と発言するまでになりました。

メディアに対する不信も非常に浸透し、多くの人が、テレビや新聞だけではどうやら情報が不十分だと思いはじめてきたようです。

デモでの逮捕もそうですが、総務省がインターネットを監視したりする動きも、あるいは経産大臣を辞任に追い込むことも、計画停電のように、やっている側の思惑からすれば失策となるのではないかという気がします。計画停電でみんなが実感したのは、原発がないと電気が使えなくて困る、という感覚よりも、東京電力に頼っていてはまずい、という感覚だったと思います。そして、それは同じように、国やメディアの動きが、警察や国や官僚、あるいはメディアに頼っていてはどうもまずい、という感覚を強化する方向へ働きかけていることになってきた気がします。

学校が給食に、汚染された可能性のある牛肉、を使ったのも同様。声にださないでも、根深く教育に対する不信が広がっているのはまちがいないでしょう。

誠実であるとか、真摯であるとかが、いまほど大事にされる時代もなかったのではないか、と思います。
人間関係においても、商売においても、信頼関係は、もっとも重要なものです。それが崩れはじめた社会が、どのようになっていくのか。残念だったりうんざりしたりしながらも、興味深いことでもあります。

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相変わらずのyoutube巡りをしてしまい。発見したので、メモ代わりにリンクしておきます。

(とても暗い内容から入るので、気をつけて。とはいえ、このあとの展開はかなりよい)

作曲家の武満徹の海外でのドキュメンタリーなのですが、武満だけでなく、日本映画への愛に満ちていてすばらしい。最後に紹介される、柳町光男監督の「火まつり」を私は知らなかったのだけど、このドキュメンタリーのシーンを観て、「これは日本のタルコフスキーじゃないか!」と驚き、検索すると、脚本が中上健次なのだった。でも、アマゾンでDVDがプレミアついて1万8千円だった。

ちなみに、タルコフスキーは水がじゃぶじゃぶでてきて、1カットが長くて、途中で寝てしまうことで有名な映画監督です。私も「ストーカー」と「ソラリス」と「ノスタルジア」と「サクリファイス」を見ましたが、途中で寝なかった映画がありません。ちなみに、サクリファイス以外は最後まで見ましたが、サクリファイスは既に4回途中で挫折しています。途中で寝るけど、何度も見たくなる、不思議な映画です。


すばる10月号、姜誠の「マイノリティと反原発」で「あさこはうす」の存在を知る。
反核ロック・フェスティヴァル[大MAGROCK]
http://ohmagrock.greenwebs.net/
より引用

「あさこはうす説明
大間原子力発電所の敷地内、炉心予定地から約300mの所に、実は未買収地があります。「大間の海は宝物」と、土地を最後まで売らなかった、熊谷あさ子さんの土地です。熊谷さんは2006年に亡くなりましたが、今は娘の小笠原厚子さんがその土地を守っています。小笠原さんはそこにログハウスを建て、野菜を栽培しています。このログハウスの名前が「あさこはうす」です。
あさこはうすは2010年5月現在、周囲をフェンスで囲まれています。また、公道からあさこはうすまでの道の両側にもフェンスが立っています。」


「あさこはうす」といい、「大MAGROCK」といい熱い人たちがいることを知り、元気をもらった。