あいかわらず、芥川龍之介を探っているのだが、あんまり時間はなく、青空文庫をちらちらと読んだりする。iphone青空文庫で、全集を持ち歩き、電車で読めるという環境は、ありがたい。ただし、眠くてその気がなかなか起きないのが問題。

ところで、なぜか本棚で北村薫の「六の宮の姫君」を見つけてしまう。奥付を見ると、もう十年以上前に買った本だ。

六の宮の姫君 (創元推理文庫)

六の宮の姫君 (創元推理文庫)

 そういえば、これは芥川龍之介の評論のようなミステリだったなあ、と思い出し、再読。しかし、なんだろうこの小説は。すばらしい傑作とはいえないのだが、そうはいっても、これはちょっと大切にしておきたい本だなあと思う。ひとに薦めたりしないけど、なにかのきっかけでこの本が話題になったりして、「これなんかいいよね」「ああ、そうそう、これいいよね」みたいな会話ができるととても幸せになれる感じの本だ。菊池寛芥川龍之介の友情が静かな感動となる、評論のようなミステリです。え? ミステリ? まあ、これをミステリとかいうのは、絶対、間違っていると思いますけどね。でも、創元クライム・クラブですからね。とかいって、クライムじゃ全然ありませんけどね。でも、小島信夫のように、読後に手元に残るのは、小説を読んだ、という感覚です。

ちなみに、最初に読んだときはそうは思わなかったけれども、この小説も自殺が隠れたテーマなんですよね。はあ。

そんなわけで、菊池寛にも手を伸ばすのであった。ますます遠いなあ。