今日は、子どもたちとともに、実家へ向かう。かお先生は急に仕事が入り、急遽、4人でいくことになる。
 昨日とまりがけで、伊豆のほうへいっていた子どもたちの疲れを心配していたが、一晩寝たら、すっかり元気になっていた。まあ、油断は禁物だが、心配しすぎて変に甘やかすのも問題だとおもうので、さんざん、指定席をとれば、といわれていたのを、無視して、自由席でいくという計画を通す。お盆の新幹線の指定席は基本的に予約でいっぱいである。直前に席を確保しようとおもったら、早朝など、だれも乗らない時間にするか、グリーン席にするかである。あとは、のぞみではなく、停車駅の増えたひかり、にするか、さらにこだまにするか。
 でも、なんとなく、大丈夫な気がしたのと、お金を節約したいということと、こどもたちにすこし苦労させたいという気持ちがあった。すでに、さとも5歳。ちーは10歳である。いざとなったら、通路にすわってもいいさ。どうせ2時間半なんだしと思う。
 私は子どもの頃、夜行の船にのって、毎年の母の実家だったところへいった。夜の11時に出発し、一晩中、船に揺られ、朝5時ぐらいについて、そこから1時間半ぐらい歩いた記憶がある。大変だったかといわれると、ぜんぜんそんな記憶はない。到着すると、そのまま、着替えて歩いて3分の海に遊びに行って、一日中、浜辺にいた記憶しかない。ギュウギュウになって寝た夜行の船の記憶も、暗い中歩いた記憶もみんな、すごくいい思い出になっている。
 新幹線で2時間半、席に座れなくて、いろいろ苦労したってどうってことない、と思って、駅に行くと、速攻でのぞみが来て、空席もあるようで、飛び乗る。窓際はすでに埋まっていたが、それ以外の席は空いていたので、3席確保する。混雑どころが、下手をするとギッシリ詰まっている指定席より快適な自由席だった。しかも、待たずに乗ったので、指定席よりも早く着いた。

 ちーはさっそく本を取りだして読んでいる。福音館の「ニルスの不思議な旅」をこのところ寝る前にかお先生が読んでいるらしく、つづきが気になっているらしい。分厚くて重たいのに、自分の鞄に入れてきた。
 実は昨日は、私が読みながら寝たのだが、5ページほどで、主要なカラスが二匹殺されたり、展開は早く、しかも劇的である。かお先生に聞くと「ニルスすごいおもしろいよー」だそうだ。やはり福音館のこの箱入りシリーズは名作ぞろいのようだ。

ニルスのふしぎな旅〈上〉 (福音館古典童話シリーズ 39)

ニルスのふしぎな旅〈上〉 (福音館古典童話シリーズ 39)

みーとさとは、UNOをやっている。ルールの理解がいまいちなさとだが、そのあたりを、しきり屋のみーがフォローしながら仲良くやっている。さとの手札は、全部みーに筒抜けで、「これじゃなくて、こっちをだすの!」とか指導しつつ、当然のように毎回みーが勝つ。みーは負けることがなく満足で、さとはみーにまけても意に介さないようで、非常にバランスがとれている。さと、それでいいのか?とも思うが、私は子どもたちが自分たちで十分満足しているので、新幹線でも寝る。

小さかったころは、この2時間半が長かった。時間をつぶすために、わざわざ昼食の時間にあてて、ご飯をたべさせ(ご飯を食わせると静かで機嫌はいいので)、だっこして新幹線の何両かをいったりきたりして、すごく大変だったような気がする。それから比べると、今はめちゃめちゃ楽だ。

 子育てって3歳くらいまでがとても大変なのだけど、4歳になると、急に楽になって、5歳になるともっと楽になり、小学生になると、むしろ手がかからなさすぎて、寂しくなってくる。先日、子どもを餓死させてしまった母親がいたけれど、3歳と1歳っていう組み合わせは、たぶん一番つらい時期だったんだとと思う。もう1年なんとかしのげれば、事態はかわったんじゃないか、とそんなことを思う。