機械化と労働

実は何度か書いたことがあるのだけれど、執拗に考えていることなので、書いてみる。自動化機械化と労働について。

たとえば、高速道路のETC。これを普及させようと、土日に千円にしたりする政策がとられている。

ETCにする利便はいくつかあり、高速道路がスムーズにながれる(のではないか)というようなことがいわれている。利点の一つは、料金所の人がいらなくなることだろう。排ガスを吸いながら働く劣悪な環境から労働者を救い出せ、おまけに人件費も抑制できる。

と、もちろんそんな風にすなおに考えられるわけではなく、ETCになったら、料金所の人はおそらく職を失うことになるでしょう。そうでなければ人件費の抑制ができないからですし、あるいは、人件費を抑制していないのなら、この人たちは、遊んでいながらお金をもらうことになります。理屈の上では。

そうすると、ETCを導入するというのは、お金をやりとりするだけの単純な労働者から、ETCという機械とそれをメンテナンスしたりする技術者(おそらくそれなりの学歴と手先の器用さのある人)に置き換えることだとかんがえることができます。技術者は、単純な労働者の何倍かの給料を貰い、それ以上の人数分のETCをメンテナンスすることになるでしょう。

さて、私が子供の頃、未来の理想のすがたにあったものの一つに、あらゆる面倒な仕事は機械が肩代わりし、人間は愉快なことだけをするようになるだろう、というものがありました。いまでも機械を作っている人には、そういう気持ちで、つまり人間を苦役から解放するために機械をつくっているんだと思っている人がいるでしょう。

であれば、ETCによって、排ガスを吸いながらお金をやりとりする仕事から解放された人々は、悠々自適に暮らすべきではないのか。

いってみれば、これが私がずっっっっっと考えていることであります。そして、その回答のひとつがベーシック・インカムであることも知っております。

働いていない人にも、暮らせるだけの金を渡す。この今の常識に逆らうことが、やはり回答だろうと思っています。
今の世の中の、本当の問題は仕事がないということです。ETCが電気を使うように、エネルギーを使って(石油をじゃんじゃん燃やして、CO2をバンバン出して)、人間の労働を機械がやってくれている。あるいは食料を増産している。そのおかげで、仕事の絶対量が人間の数に対して少ないわけです。私たちは、その少ない仕事を奪い合っているわけです。

でも、なんのことはない、仕事が少ないのだったら、働かなきゃいいわけです。そのために、一生懸命、機械をつくってきたのだから、人類はもっともっと働かないですむようにすればいいわけです。

しかし、そのためには、働かないとお金が入らない、という社会の仕組みや常識を変えなくてはいけないわけです。それが、ベーシック・インカムだと私は思います

もちろん、これだけが回答だとは思いません。機械化が仕事を減らしたのが、問題ならば、機械化やめて人力にするという回答もあるし、あるいは、なにかしら仕事を増やすというのも回答です。

ところで、高速道路の無料化がもし実現したら、ETCもいらなくなります。そうすると、メーカーの技術者さんも営業さんも、仕事をしないで悠々自適になる、てなわけにはいかないんですよねえ、いまのままでは。