あいかわず「点子ちゃんとアントン」なのだが、中間をすっとぱして終わりを読んでも、やっぱり俺とケストナーは相性が合わないと思う。とりあえず、それが確認できただけでもよし。

たまたま目の前にあった「シートン動物記」を音読しはじめたら止まらなくなり(というかやめさせてもらえず)第一章を読む。長いんだけど。シートン動物記、悲惨な場面が多く、それもきっちり数ページごとに入れるエンターテイメント仕様。さとは恐くなって泣き出す。読んだのは「灰色グマ」だが、熊の視点、リスの視点といろいろな視点から書かれ、人間に対してはかなり批判的であるのが、ほんとうにすごいことだと思う。文章(原文+訳)もいい。
 子供の熊が、母親と兄弟を殺され、孤独に生き延びていくのだが、これがほんとに坦々としていながら、つぎつぎと怒るイベントを通り越して、成長していく。物語として、よくできている。なんとなく、ちょっとまえに読んだ、コーマック・マッカーシーを思い出す。

狼王ロボ シートン動物記 (集英社文庫)

狼王ロボ シートン動物記 (集英社文庫)

血と暴力の国 (扶桑社ミステリー)

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 手前味噌だけど、シートンマッカーシーなんて、普通は結びつかないでしょう。でも、これ、似てますよ。ということは、コーエン兄弟には「シートン動物記」を映画化してもらうと、いいかもしれませんね。